聞書第二 〇二八六 寄親は兼々組の者に振る舞ひ、會釋の心入あるべき事 原文 一、権之丞、長崎御仕組假物頭付けられ候。それに付き心得の爲書附に、早速打立ち候仕組、夫丸に宿元見せ置き候事どもあり。又組の者召寄せ、馳走など致し、會釋の心入ある事に候。一言にて、あの様なる寄親かなと思ふもの也。御爲の志堅固ならば、此の次は物頭に仰付けらるべく候也。
聞書第二 〇二八六 寄親は兼々組の者に振る舞ひ、會釋の心入あるべき事 現代語訳 一、権之丞が、長崎御仕組み仮物頭を仰せ付けられた。それについて、心得の為の書物に、早速出発するときの仕組みは、夫丸に宿元を見せて置く事などとあった。また、組の者を召し寄せ、馳走などをして、愛想よく対応する心入れが必要だ。一言で、あの様な寄り親なのだと、思われてしまうものだ。お役に立とうと言う志が堅固ならば、この次は物頭に仰せ付けられるだろう。