聞書第一 〇一六〇 役儀を見立て好みして我が爲に勤むる者は滅亡する 原文 一、役儀を見立て好み、主君頭人の氣風をはかり、我が爲に勤むる者は、たとえ十度圖りて當るとも、一度圖りて迦したる時、滅亡して汚な崩しをする也。手前に一定したる忠心なく、私曲邪智の深きよりする事也。
聞書第一 〇一六〇 役儀を見立て好みして我が爲に勤むる者は滅亡する 現代語訳 一、役を見立てて選り好みをして、主君や頭の顔色をうかがい、自分の為に勤める者は、たとえ十回工夫して当たっても、一度の工夫で外してしまった時、滅亡して汚い崩れ方をする。前提に一定した忠義がなく、私利私欲や邪まな知恵が深いから起こる事だ。