聞書第一 〇一五七 氣に食わぬとて役を斷るは逆心同然、理非に構はず畏まるべし。 原文 一、不氣味なる事ありとて、役斷り、引取りなどする事は、御譜代相傳の身として、主君を後になし、逆心同然也。他國の侍は不氣味なる時、引取るをたてばにする也。仰付けとさへあらば、理非に構はず畏まり、さて氣に叶はざる事は、いつまでもいつまでも訴訟をすべし。
聞書第一 〇一五七 氣に食わぬとて役を斷るは逆心同然、理非に構はず畏まるべし。 現代語訳 一、気に入らない事があると言って、役を断わり、引退などする事は、譜代を受け継ぐ身として、主君をないがしろにしており、逆心したも同然だ。他国の侍は気に入らないとき、引退をたてにする。仰せ付けとあれば、理非にかまわずかしこまり、気に入らない事は、いつまでもいつまでも、訴え続ける事だ。