聞書第一 〇一五三 教訓に従ふ人は稀、道を知つた人には馴れ近づいて教訓を受けよ 原文 一、世に教訓する人は多し、教訓を悦ぶ人は少し。況して教訓に従ふ人は稀也。年三十も越えたる者は、教訓する人もなし。教訓の道ふさがりて、我が儘なる故、一生非を重ね、愚を増して、すたる也。道を知れる人には、何卒馴れ近づきて、教訓を受くべき事也。
聞書第一 〇一五三 教訓に従ふ人は稀、道を知つた人には馴れ近づいて教訓を受けよ 現代語訳 一、世の中には、教訓を語りたがる人は多いが、教訓を語られて喜ぶ人は少ない。ましてや教訓に従うひとは稀だ。年が三十を超えた者には、教訓を語ってくれる人も居なくなる。教訓の道がふさがって、我が儘になるので、一生非を重ねて、愚を重ね、卑怯者になっていく。道を知る人には、何卒馴れ近づいて、教訓を受けるべきである。