聞書第一 〇一四七 人に意見を頼み、我が非を知つて道を探促する者は御國の寶 原文 一、聖君賢君と申すは、諫言を聞召さるゝ計り也。その時、御家中力を出し、何事がな申し上げ、何事がな御用に立つべしと思ふゆゑ、御家治まる也。士は諸朋輩に頼もしく寄合ひ、中にも智慧有る人に我が身の上の意見を頼み、我が非を知つて一生道を探促する者は、御國の寶となる也。
聞書第一 〇一四七 人に意見を頼み、我が非を知つて道を探促する者は御國の寶 現代語訳 一、聖君、賢君というのは、諫言を聞き入れられるかどうかと言う事だけだ。その時、御家中が力を出し、何事かを申上げ、何事か御用に立つべしと思うが故に、御家は治まるのだ。侍は友人、先輩、後輩に頼もしく寄り合い、中の知恵のある人に身の上の意見を頼んで、自分の非を知って一生道を探索し続けるものは、御国の宝となる。