聞書第一 〇一三八 純一無雜、まじり物があつては道でない、奉公武邊一片になれ 原文 一、修業に於ては、これ迄成就という事はなし。成就と思ふ所、その儘道に背く也。一生の間、不足々々と思ひて、思ひ死するところ、後より見て、成就の人也。純一無雜に打成り、一片になる事は、なかなか一生に成り兼ぬべし。まじり物ありては、道にあらず。奉公武邊一片になること心がくべき也。
聞書第一 〇一三八 純一無雜、まじり物があつては道でない、奉公武邊一片になれ 現代語訳 一、修業において、これで成就と言う事は無い。成就したと思う事は、その道に背く事だ。一生の間、不足していると思い続けて、思い死にれば、後の人から見て成就の人に見える。純一無雑になって、一筋になることは、なかなか一生では成り難い。混じり物があっては、道ではない。奉公武辺一筋になることを心がけるべきだ。