聞書第一 〇一三七 我が上を人にいはせて意見を聞くのは人に超越する所以 原文 一、人に超越する所、我が上を人にいはせて意見を聞く計り也。並みの人は我が一分にて濟ます故、一段越えたる所なし。人に談合する分が一段越えたる所也。何某役所の書附けを相談申され候。我等よりは能く書き調ふる人也。添削を請わるゝが人より上也。
聞書第一 〇一三七 我が上を人にいはせて意見を聞くのは人に超越する所以 現代語訳 一、人より超越するためには、自分の常態を人に言わせて意見を聞くのみだ。並みの人は自分の考えのみで済ませてしまうため、一段越えた境地にたどり着かない。人に相談した分が一段越えた所だ。何某から役所の書付を相談された。我等よりよく書き調えることのできる人だ。添削を頼むから人より上なのだ。