聞書第一 〇一三二 曲者は頼もしきもの、人の落目や難儀の時、頼もしするのが曲者 原文 一、神右衛門申し候は、「曲者は頼もしきもの、頼もしきものは曲者也。年來ためし覺えあり。頼もしきといふは、首尾よき時は入らず、人の落目になり、難儀する時節、くぐり入りて頼もしするが頼もしなり。左様の人は必定曲者也。」と。
聞書第一 〇一三二 曲者は頼もしきもの、人の落目や難儀の時、頼もしするのが曲者 現代語訳 一、神右衛門が言ったことには、「剛の者は頼もしい者、頼もしい者は剛の者だ。今までに経験がある。頼もしいというのは首尾よく行っている時に入ってくるのではなく、人が落ち目になって、問題を抱えている時、くぐっても入ってきて世話をするのが頼もしいのだ。そのような人は決まって剛の者である。」と。