聞書第一 〇一二九 志ある侍は諸朋輩と懇意にする、それは自然の時一働きする爲 原文 一、直茂公御意の通り、志ある侍は諸朋輩と懇意に寄合ふ筈也。それ故、侍より足輕迄大分入魂致し置きたり。此の衆は自然の時一働き存じ立ち候が、「主人の御爲に同意あるまじきや。」と申す時、二三といはぬ所、見届け置きたり。されば、よき家來を持ちたる始也。御爲になる事也。
聞書第一 〇一二九 志ある侍は諸朋輩と懇意にする、それは自然の時一働きする爲 現代語訳 一、直茂公の御意志の通り、心ある侍は友や先輩後輩と懇意に寄り合うはずである。それゆえ、侍から足軽までだいぶんと親しくしている。この衆は自然と大事の時には一働きすると思っていたが、「主人の御為に同意してくれないか。」と言った時、二言、三言など言わずに同意する所を見届けた。これは、よき家来を持つ始めである。主君の御為になる事だ。