聞書第一 〇一二八 蝮蛇は七度焼いても本體に返る、我は七生迄も御家の士に 原文 一、病氣などは氣持から重くなるもの也。我は老後に御用に立つべしとの大願ありしゆゑ、親七十歳の子にて、影ぼしの様にありしかども、一機を以て仕直し、終に病氣出ず。さて婬事を愼み、灸治も間もなく致し候なり。これにて慥に覺えあり。ひらくちは七度焼いても本體に返ると云ふ事あり。我大願有り、七生迄も御家の士に生れ出でゝ本望を遂ぐべしと、しかと思込み候也。
聞書第一 〇一二八 蝮蛇は七度焼いても本體に返る、我は七生迄も御家の士に 現代語訳 一、病気などは気持ちから重くなるものだ。私は老後に御用にたつと大願があるので、親七十歳の子で、影法師の様に体が弱かったが、一機をもって直し、終に病気を患うことは無かった。さて、性的な事を慎み、お灸も間をおかず行った。これに確かに覚えがある。まむしは七度焼いても本体に帰ると言われている。私には大願があり、七度生まれてもお家の侍に生まれ出て本望をとげるとしかと思い込んでいる。