聞書第一 〇一一四 志田吉之介が言葉の裏「残らぬ場なら生きたががまし」 原文 一、この事、この中も承り候。この度の御話此くの如し。志田吉之助が、「生きても死にても残らぬ場ならば生きたがまし。」と申し候は、裏を云ひたるもの也。又、「行かうか行くまいかと思ふ所へは、行かぬがよし。」と。この追加に、「喰はうか喰ふまいかと思ふ物は喰はぬがよし、死なうか死ぬまいかと思ふ時は、死んだがよし。」
聞書第一 〇一一四 志田吉之介が言葉の裏「残らぬ場なら生きたががまし」 現代語訳 一、この事は、すでに伺った。今回の御話はこのような物であった。志田吉之助が。「生きても死んでも後に残らないのなら生きた方がましだ。」と言ったのは、この裏を言ったのだ。また、「行こうか行くまいかと迷う所には、行かないのが良い。」と言った。この追加は以下のように続く、「喰うか食うまいかと迷う物は、食わないのが良く、死のうか死ぬまいかと迷った時は、死んだ方が良い。」