聞書第一 〇一〇二 何事にも願ひさへすれば願ひ出すもの、松茸も檜も願力 原文 一、一鼎の話に、何事も願いさへすれば、願ひ出すもの也。御國に、昔は松茸と云ふものなし。上方にて見候共、御國内の山に出來候へと願ひ候が、今は北山に願ひ出し、いか程も出來たり。以後は御國の山に檜出來申すべく候。これ我が未來記なり。諸人願ひ候故也。然れば人々願ふ事有るべき事也。
聞書第一 〇一〇二 何事にも願ひさへすれば願ひ出すもの、松茸も檜も願力 現代語訳 一、一鼎の話に、「何事も願いさえすれば、叶うものだ。故郷には、昔は松茸という物は無かった。上方で見たことはあったが、故郷の山に出来ますようにと願ったところ、今は北山に願いが叶って、たくさん出た。将来は故郷の山に檜が出来るだろう。これは私の未来記だ、みんなそのように願っているからだ。そうであれば、すなわち人々が願う事は叶うだろう。」との事。