聞書第一 〇〇九八 侍の一言金鐵よりも堅い、と諸岡彦右衛門、主君に神文を拒む 原文 一、諸岡彦右衛門用事これある由にて、召寄せ申聞けられ候一通りの事、神文と申され候へども、「侍の一言金鐵より堅く候。自身決定の上は、佛神も及ばるまじ。」と申し候て、相止め候事。廿六歳の事也。(辨財公事の極意の事。)
聞書第一 〇〇九八 侍の一言金鐵よりも堅い、と諸岡彦右衛門、主君に神文を拒む 現代語訳 一、諸岡彦右衛門が用事があるとの事で、呼び出されて聞きだされた一通りの事を、神文(神に誓い、無い様に偽りがあれば罰せられる文書)とせよと申されたが、「侍の一言は金や鉄よりも堅い物です。自身が決めた上は、神仏も及びません。」と申して、取りやめとなった。二十六歳の時の事である。(弁財公事の極意の時の事)