聞書第一 〇〇九七 鍋島次郎右衛門切腹に四段の意見、先ず外聞が第一 原文 一、鍋島次郎右衛門切腹の時、何某へ四段の意見有り。御仕置の中に、世上の聞こえ憚らずしては却つて御悪名に成る事あり。最初此の沙汰ありとも、取立てられざる筈也。次に究めの節、僞り候はゞ其の分にて差置かるゝ筈也。其の次に咎の詮議の時、先祖の功、先年公儀へ四郎が旗御覧成され候儀申し達し、差留むるべき事也。其の次に右の絛々成り難くば、御同意申上げらるべき事也。
聞書第一 〇〇九七 鍋島次郎右衛門切腹に四段の意見、先ず外聞が第一 現代語訳 一、鍋島次郎右衛門切腹の時、何某へ四段の意見があった。御仕置の中に、憚らずに世間に広まればかえって悪名となってしまう事があった。最初に、此の沙汰があっても取り立てないはずだった。次に取り調べで偽ってもそのまま差し置かれるはずだった。その次に、罰の詮議の時に、先祖の手柄、去年公儀へ四朗の旗を御目にかけたことを伝え、差し止めるべきだった。其の次に、右に上げた事が出来なかった場合、同意申し上げるべきであった。