聞書第一 〇〇八九 風體は鏡を見て直せ、口上の稽古は家庭の物言、手紙は案文 原文 一、風體の修行は、不斷鏡を見て直したるがよし。之は秘蔵の事也。諸人鏡をよく見ぬゆゑ、風體わろし。口上の稽古は宿元にての物言にて直す事也。文段の修行は一行の手紙も案文する迄也。右いづれも閑かに強みあるがよき也。又手紙は向様にて掛物になると思へと、梁山上方にて承り候由。
聞書第一 〇〇八九 風體は鏡を見て直せ、口上の稽古は家庭の物言、手紙は案文 現代語訳 一、風体の修業は、不断鏡を見直すのが良い。これは秘蔵の事だ。皆は鏡をよく見ないので、風体が悪い。口上の稽古は宿元での物言いで直す事だ。文段の修業は一行の手紙も案文するだけだ。右に挙げたのはいずれも静かに強みがあるのが良い。また、手紙は相手様の家で掛け軸になると思えと、梁山が上方で聞いてきたとの事。