聞書第一 〇〇八八 藝ある者は鍋島侍ではない、藝能の害を知れば諸藝も用に立つ 原文 一、藝は身を助くると云ふは、他方の侍の事也。御當家の侍は、藝は身を亡す也。何にても一藝これある者は藝者也、侍にあらず。何某は侍也といはるゝ様に心掛くべき事也。少しにても藝能あるは、侍の害になる事を得心したる時、諸藝共に用に立つ也。この當り心得べき事也。
聞書第一 〇〇八八 藝ある者は鍋島侍ではない、藝能の害を知れば諸藝も用に立つ 現代語訳 一、芸は身を助けると言うのは、よその侍の事だ。御当家の侍は、芸は身を滅ぼす。何でも一芸ある者は芸者であり、侍ではない。何某は侍だと言われる様に心掛けるべきだ。少しでも芸能がある事は、侍の害になる事を心得た時、諸芸共に役に立つ。このあたりは心得るべき事だ。