聞書第一 〇〇八二 弟子を取りたければ毎日竹刀を手馴らす事一事三昧 原文 一、槍遣何某、末期に一の弟子を呼び、遺言致し候は、「一流奥儀、少しも残らず相傳え候上は、今更申置くべき事なし。若し弟子を取るべくと存じ候はゞ、毎日竹刀を手馴らすべし。勝負合ひの事は格別也。」と申し候由。又連歌師の傳授にも、會席の前日より心を静め、歌書を見るべき由なり。一事三昧の所也。面々の家職三昧に有るべき事也。
聞書第一 〇〇八二 弟子を取りたければ毎日竹刀を手馴らす事一事三昧 現代語訳 一、槍遣いの何某、最期に一番弟子を呼び、遺言を致して、「一流奥儀、少しも残らず伝えたので、今更言っておくことは無い。もし弟子を取ろうと思った時は毎日竹刀を手に取らせよ。勝負の事は別格である。」と言ったとの事。また、連歌師の伝授にも、会席の前日より心を静め、歌書を見るべきとの事だ。一つの事に不覚集中する事だ。各々の家職に不覚集中するべきという事だ。