聞書第一 〇〇八一 内で廣言を吐きながら事に臨んで違背する者が多い 原文 一、唐に、龍の圖を好める人有り。衣装器物にも龍の模様計り附けられたり。其の愛心深き事、龍神に感通して、或時、窓の前に眞の龍現れたり。此の人驚き、絶入りしけると也。内々にては廣言を云ひて、事に臨みて違却する人有るるべし。
聞書第一 〇〇八一 内で廣言を吐きながら事に臨んで違背する者が多い 現代語訳 一、中国に、龍の図を好む人がいた。衣装や器物にも龍の模様ばかりを付けた。その愛する心の深い事、龍神に通じて、ある時、窓の前に本物の龍が現れた。この人は驚いて、気絶してしまったそうだ。内々には大口を叩いて、実際に大事な場面に臨んで道理から外れてしまう人が居るものだ。