聞書第一 〇〇七九 俄雨も初から思ひはまつて濡れる心に苦しみがない 原文 一、大雨の箴と云ふ事あり。途中にて俄雨にあひて、濡れじとて道を急ぎ走り、軒下などを通りても、濡るゝ事は替らざる也。初めより思ひはまりて濡るゝ時、心に苦しみなく濡るゝ事は同じ。これ萬づにわたる心得也。
聞書第一 〇〇七九 俄雨も初から思ひはまつて濡れる心に苦しみがない 現代語訳 一、大雨の戒めと言う物がある。途中でにわか雨にあって、濡れないようにと道を急いで走り、軒下などを通っても、濡れることは変わらない。初めから思い切って濡れる時、心に苦しみなく濡れることは同じだ。これは全てにおける心得だ。