聞書第一 〇〇七五 駈落者追手氣轉の挨拶「朋輩を待ち兼ね麁相仕り候」 原文 一、何某、駈落者追手に罷越し候處、駕籠に乗り戸を差して通り候者あり。走り寄り戸を引きあけ、「何某にてはこれなきや。」と申し候へば、他方の者にて候。「朋輩を待ち兼ねて麁相仕り候。」と申し差し通り候由。
聞書第一 〇〇七五 駈落者追手氣轉の挨拶「朋輩を待ち兼ね麁相仕り候」 現代語訳 一、何某が、駆け落ちの追っ手に行ったとき、駕籠に乗って戸を閉めて通る者がいた。走り寄って戸を引きあけ、「何某ではないか。」と言ったが、人違いであった。「友人を待ちかねて粗相をしてしまった。」と言ってはばかったとの事。