聞書第一 〇〇七三 武士は何時も勇み進みて物に勝ち浮ぶ心がないと用に立たぬ 原文 一、人の難に逢うたる折、見舞に行きて一言が大事のもの也。その人の胸中が知るゝもの也。兎角武士はしほたれ、草臥るゝは疵也。勇み進みて、物に勝ち浮ぶ心にてなれば、用に立たざる也。人をも引立つる事是在る也。
聞書第一 〇〇七三 武士は何時も勇み進みて物に勝ち浮ぶ心がないと用に立たぬ 現代語訳 一、人が困難に逢った折は、見舞いに行って一言かけるのが大事だ。その人の胸中を知る事が出来るものだ。とかく武士にとっては、意気消沈したり、くたびれる事は疵となる。勇み進んで、物に打ち勝って浮かぶ心でなければ、役に立たない。人を引き立てる事も出来るだろう。