聞書第一 〇〇七〇 骨を折つて藝者になるのは惜しい、多能なる者は下劣に見える 原文 一、武藝に貪着して、弟子など取りて武士を立つると思ふ人多し。骨を折りて、漸く藝者にならるゝは惜しき事也。藝能は事缺かぬ分に仕習うて濟む事也。聰じて多能なる者は下劣に見え、肝要の所が大方になるもの也。
聞書第一 〇〇七〇 骨を折つて藝者になるのは惜しい、多能なる者は下劣に見える 現代語訳 一、武芸に頓着して、弟子などを取って武士を立てようと思う人は多い。骨を折って、ようやく芸者になられるのは惜しい事だ。芸能は事欠かぬ程度にならえば済む事だ。総じて多芸な者は下劣に見え、肝要なところがいい加減になるものだ。