聞書第一 〇〇六八 酒は先づ我が分量を覺え飲過ぎぬ様に、酒座では氣を抜かすな 原文 一、大酒にて後れを取りたる人數多也。別して残念の事也。先づ我が丈け分を能く覺え、その上は飲まぬ様に在り度き也。其の内にも、時により、醉ひ過ごす事有り。酒座にては中就氣を抜かさず、圖らぬ事出來ても間に合ふ様に、了簡在るべき事也。又酒宴は公界物也。心得べき事也。
聞書第一 〇〇六八 酒は先づ我が分量を覺え飲過ぎぬ様に、酒座では氣を抜かすな 現代語訳 一、大酒で失敗する人が数多い。とりわけ残念な事だ。まず自分の限界を良くわきまえて、それ以上は飲まない様に在りたいものだ。その内にも、場合によっては、酔いすぎることもある。酒の席に於いては、特に気を抜かず、予期しないことが起きても間に合うように、深い考えを持つべきだ。また、酒宴は公の場だ。心得なければならない。