聞書第一 〇〇六七 堪忍が第一、但しこゞぞと思ふ時は手早くたるみなき様に 原文 一、短氣にしてはならぬ事も有り。庵替の事。口達。よき時節が出來する物也。此の様なる事は堪忍が第一也。爰ぞと思ふ時は、手早くたるみなき様にしたるがよき也。案じ廻つて、ぐどつきて仕損ずる事有り。又初めより一途に踏破つてよき事も有り。愛想も盡き興もも覺むる様にして却つてよき事が有る也。斯様なる時は、別けて一言が大事也。兎角氣をぬかさず、胸据わるが肝要なり。
聞書第一 〇〇六七 堪忍が第一、但しこゞぞと思ふ時は手早くたるみなき様に 現代語訳 一、短気にしてはいけない事もある。庵替えの時のこと。口伝。良い時節がめぐってくるものだ。この様な時は、堪忍が第一だ。ここぞと思う時は、手早くたるみが無い様にするのが良い。案じまわって、もたついて仕損じることがある。また、初めから一気に踏み破って良い事もある。愛想も尽き興も覚める様な事をしてかえって良い事がある。この様な時は、とりわけ一言が大事だ。とにかく気を抜かず、落ち着くことが肝心だ。