聞書第一 〇〇五四 鍋島光茂 綱茂父子元旦の御目見に、小姓不覺の一言 原文 一、光茂公 綱茂公御在府の時、正月元日上御屋敷にて、光茂公へ御目見これあり候に付て、其の間は、綱茂公御式臺裏の間に御座成され候。光茂公、「信濃はどこに居られ候や。」と仰せられ候時、御小姓何某、「若殿様は御隠れ御座成され候。」と申上げ候。斯様の誤これあるべき事也。
聞書第一 〇〇五四 鍋島光茂 綱茂父子元旦の御目見に、小姓不覺の一言 現代語訳 一、光茂公 綱茂公が江戸にてお勤めの時は、正月元旦に上屋敷にて、光茂公へのお目見えがあるので、その間は、綱茂公は御式台の裏のお部屋におられた。「信濃はどこにいるのか。」と仰せられた時、小姓何某は、「若殿様は、御隠れなさっております。(亡くなったと同義)」と申し上げた。このような間違いがあるだろうか。