聞書第一 〇〇三九 無念即正念、道は一つ、純一になる事は功を積まねば出來ぬ 原文 一、湛然和尚の物語に、「無念無心ばかり敎える故に、落着せぬ也。無念と云ふは正念の事也。」と仰せられ候。面白き事にて候。實敎卿も、「一呼吸の中に邪を含まぬ所が、即ち道也。」と仰せられ候。然れば道は一つ也。此の光を先づ見附くる者もなきもの也。純一になる事は功を積までは成るまじき事也。
聞書第一 〇〇三九 無念即正念、道は一つ、純一になる事は功を積まねば出來ぬ 現代語訳 一、湛然和尚の物語に、「無念無心ばかり教えるので、落ち着かぬ。無念と言う正念の事である。」と仰せられた。面白いことだ。實敎卿も、「一呼吸の中に邪を含まないところが、すなわち道である。」と仰せられた。しからば、道は一つだ。この光をまず見つける者がいない。純一には経験を積むまで成る事はないだろう。