聞書第一 〇〇二八 當番御目付山本五郎左衛門抜刀して火事場の門を開けさす 原文 一、何某殿屋敷出火の時、山本五郎左衛門當番御目付にて罷り在り候處、門を固めいれ申さず、「火事は此方にてこれなし。」と申し候。五郎左衛門せき上がり、「御意を承り罷越し候者を入れずば、薙切り仕るべし。」と刀を抜き申し候に付て門を開き申し候由。内には何某一手ばかりまゐり、。取消し申され候由。
聞書第一 〇〇二八 當番御目付山本五郎左衛門抜刀して火事場の門を開けさす 現代語訳 一、何某殿屋敷が火事の時、山本五郎左衛門が当番お目付けであったので駆けつけると、門を固めて中に入れず、「火事はここではない。」と言われた。五郎左衛門が激高し、「お役目にて駆けつけた者を入れないのであれば、なで斬りにする。」と刀を抜いて言うので、門を開いた。中では何某の一隊がおり、火は消されていた。